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【ミライロ仕事図鑑】明倫国際法律事務所

次世代を担う学生が、福岡という枠組みに囚われずに面白い取り組みに挑戦する企業を取材し、
福岡商工会議所の会報誌「福岡商工会議所NEWS」の記事を作成する企画「ミライロしごと図鑑」。

本メディアでは会報誌にはおさまらなかった写真、インタビューを通して学生が得た気づきを紹介します。

10回目となる今回(会報誌1月号)は、明倫国際法律事務所さんを取材しました!

今月の取材先:明倫国際法律事務所とは?

高い専門性、組織化された弁護士が問題解決のためのサービスを提供する福岡の国際法律事務所。経営法務、知的財産、国際業務、個人法務、行政支援業務と幅広い分野の事業を取り扱っている。

今回取材に協力して頂いた方)明倫国際法律事務所 代表 田中雅敏さん

「福岡の地から『法律』で世界中の人々を救う」

ー貴所の事業内容をお聞かせください。
一般的な弁護士のイメージは「相続」や「交通事故」などの個人法務事業かもしれませんが、明倫国際法律事務所は企業との仕事が多いです。例えばこれから新しい事業を始めるときに「どのようなビジネスモデルを作ったらいいか」を一緒に考えたり、事前のリスク管理などを行ったりします。仕事柄多くの企業を見ていますし、弁護士事務所はトラブルになったときに相談するところでもあるので、失敗例は山ほど見ています。それを踏まえて注意点や上手くいく方法を企業にアドバイスできます。それ以外には、海外ビジネス関連法務を取り扱っているのがユニークなところだと思います。海外オフィス4カ所に加え、提携事務所も世界 30 都市にあります。国際関係の業務の他にも、知的財産権関係の業務、IPOやM&A 業務など幅広く取り扱っています。

ー国際関係の事業をされていますが、海外に進出する企業の支援をされているのですか?
そうですね。大企業などで法務部もしっかりしている会社から具体的な依頼を受けることもありますが、地元の中小企業の皆さんから、「海外進出全般」についてご相談を受け、一緒にビジネスを考えるようなことも、よくあります。例えば新しい国でお茶を売りたいというとき、お茶の輸出の可否や小売店をつくる際の手続き、現地パートナーとの契約スキームなどをアドバイスするというのが海外事業のわかりやすい一例です。しかし、そのように具体化しておらず、「わが社の製品をどこか海外でも売りたいのですが、どこで売ったらいいですか」というような相談に対して、製品の特徴や優位性、価格帯などを踏まえ、適切な国と販売方法を企業に提案することもあります。これはあまり弁護士の仕事ではないのですが(笑)。あらゆる面においてメリット・デメリットを考え、企業の状況も考慮して最適な提案をすることで道をつくっていくのです。こういったサービスは私たちの事務所の大きな特徴ですね。

ー企業に手厚いサポートをされているのですね。明倫国際法律事務所は多くの事業部に分かれていますが、それぞれの分野で専門に担当している弁護士がいらっしゃるのですか?
そうですね。兼務もいるのですが、弁護士になって2~3 年たってから徐々に自分の希望で分かれていくような感じです。明倫国際法律事務所では、仕事の好き嫌いを選べるようにしています。嫌な仕事はしなくていいです、と。

ー社員が好き嫌いで仕事を選べるのですか?そうすると、誰にも選ばれない仕事などないのでしょうか?
それが、自然と良い具合に好き嫌いが分かれるのですよ。それぞれ個性もやりたいことも違いますからね。でも選り好みしていいかわりに、好きだといって選んだ仕事は徹底的にやろう、ということにしています。好きであれば得意になれるし、専門になることができる。しかし、人より少し得意というだけでは「専門」に入りません。一番かどうかは別としてトップクラスの弁護士となり、その業界のお客様から自然と名前が出るくらいになって初めて「専門」と言えるのです。やるなら徹底的にやってほしいですね。私の方から向いていそうな仕事を提案することはありますが、強制することはないです。最終的には自分の好きなことをやったらいいし、嫌ならやらなければいい。「これが好きです」と言ってやってみたが意外に面白くないと思ったら、それをやめて他のことをしてもいいと思います。

ー好きなことをするからこそ、高い専門性を実現できるのですね。ところで田中代表はどうして弁護士になろうと思われたのですか?
実は大学に入る前は、外交官か国連の職員になりたいと思っていました。当時世界は不安定な時代で、アフリカ難民やボートピープルなど、助けを求めている人がたくさんいました。そういう人を何とかしてあげたい、人助けをしたいと思ったのが大きな理由です。そのために、権限や力が必要だと思い、外交官や国連職員であれば、私にも人助けができるのではないかと考えたわけです。しかし、大学に入って、実際に様々な厳しい環境の国に行って自分がしっかり仕事ができるかと自問し、自分の身すら自分で守れないのに人助けができるのだろうかと思いました。ならば、日本国内で人助けができる道はないかと思い、法学部ではなかったのですが、弁護士になりました。今でも海外には興味がありますし、人助けしたいという思いがあり、海外に行く企業のお手伝いをしています。海外業務や知財、M&A、IPOといった特殊な法務も中小企業にとって必要なサービスなのですが、なかなか九州でこれらを全て提供できる法律事務所は少なく、結果として九州の企業が不利になってしまいます。本来法律とはインフラですので、必要不可欠なものであるはず。しかし「そのインフラ(法律)が九州では不十分だから、九州で事業をしたために他の地域でやるよりも損をした」
と言われるのは、弁護士として悔しいと思って。やる人が少ないならば私がやればよいと思い、こういった特殊な分野を取り扱い始めました。自己満足ではなく、私たち、明倫国際法律事務所がある世界が、ない世界に比べ、少しでも発展していると言える結果をだすことが、私たちの目標です。

ー田中代表の強い思いが今実現されつつあるのですね。今後のビジョンをお聞かせください。 
事業の根本にあるのは、「クライアントが困っているから助けたい」という思いです。そして今後の方向性は大きく二つあって、一つ目は「深めた」仕事をすることです。例えば「ベトナム法務ができます!」といっても、ベトナム法務の一言だけでは広すぎるのですよね。ベトナムの医療、ベトナムの飲食、ベトナムのITに詳しいというように細分化し、海外の特定の分野に詳しくなれるように今ある知識や専門性を掘り下げていきたいですね。二つ目は場所について。この後の50 年を見た時にどこが日本企業の活躍の場になるかというと、インド・アフリカだと私は思います。現在、日本企業は韓国・中国や東南アジアにマーケットを広げていますが、50 年前を考えてみると、それらの地域でこんなビジネスができるとは、思いもよりませんでした。そして、次の50 年後は、人口や発展のスピードから見ても、インドやアフリカが重要性を持ってくると思います。世界の最後のフロンティアと言ってもよいかもしれません。実際にも、日本企業は、徐々にインドに進出しており、インドを統括本社としてアフリカを狙うという動きも出ています。アフリカはインド
から意外と近いのです。アフリカは人口が多いし、ひとまとめにするのも無理なくらい多様性がありますが、今後伸びていくのはインド・アフリカだと感じています。だからこうした地域への進出案件などがあれば、私たちの収益につながらなくても、ぜひお手伝いしたい。長い目で見ればやらなければいけないと思います。

多くの人々を助けるために世界で活躍している弁護士が福岡にいることを初めて知り、弁護士の仕事に対する見方が大きく変わりました。田中代表、貴重なお話をありがとうございました!

学生インタビュアーの感想

WANメンバー園田映美音さん(九州大学1年生)

私は現在大学で法律を勉強しているので、弁護士の方から直接お話を伺うことができる今回の取材を非常に楽しみにしていました。そして取材を通して、「今や珍しくはない海外での事業展開は、法律面で多くの課題がある」というお話が強く印象に残っています。日本は今後少子高齢化がますます進み、働き手が減っていく。そのような状況下で経済成長をしていくためには海外の市場というのは重要です。福岡の地から世界へ羽ばたく企業をサポートする明倫国際法律事務所さんの仕事は、日本を支え、日本と世界をつないでいるのだということが分かりました。また田中代表の「トップクラスになって初めて『専門』だといえる」という言葉が心に残っています。今私は法律を専門に勉強していますが、法に詳しいわけでもなく、何の法律に興味があるかはまだ分かりません。もしかしたら法律よりも好きなことが他にあるかもしれません。これから勉強する中で自分が好きなものを見つけ出し、「これだ!」と思ったその瞬間からどんどん深めて、「専門」「自分の強み」にしていく努力が不可欠なのだと実感しました。

(取材の様子)

田中代表、ありがとうございました!

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