【ミライロしごと図鑑】株式会社グッドラックスリー
次世代を担う学生が、福岡という枠組みに囚われずに面白い取り組みに挑戦する企業を取材し、福岡商工会議所の会報誌「福岡商工会議所NEWS」の記事を作成する企画「ミライロしごと図鑑」。
本メディアでは会報誌にはおさまらなかった写真、インタビューを通して学生が得た気づきを紹介します。
5回目となる今回(会報誌8月号)は、株式会社グッドラックスリーさんを取材しました!
今月の取材先:株式会社グッドラックスリーとは?
スマートフォンゲームや、ブロックチェーンプロダクトの企画・開発・運営を主軸に、音楽・映像事業も展開。累計400万DLを突破した「さわって!ぐでたま」シリーズや、日本初のブロックチェーンゲーム「くりぷ豚」を生み出した。映像芸能事業ではドラマ「人生のメソッド」シリーズが 福岡ビジネス・デジタル・コンテンツ賞2017にて優秀賞を受賞。
今回取材に協力して頂いた方)株式会社グッドラックスリー 代表取締役社長 井上 和久さん
「こんな面白さあったんだ!」を福岡から世界へ
なぜ、エンターテインメント事業を始められたのですか。
私は20 代の時、ドリームインキュベータに勤めていたのですが、幸運なことに主要な業種をほとんどそこで経験できました。誰かができなかったことをすることや偉業を達成しようとすることは価値が高いですが、もちろん大変なこともたくさんあります
よね。でも、色々な業種を経験して思ったのは、エンターテインメントの分野だと、大変なことや苦しいことが起きても笑えてくるということ。「今、予算の話をしているけど、俺たちが創っているのはゲームだぞ!?」という風に。そしてゲームもドラマも、完成した時は自分もユーザーや視聴者と一緒になって楽しめる。大変なことはたくさんあるのですが、やっていること自体が楽しいから続けられる。そうして続けているうちに、成功するのです。毎回というわけにはいきませんが、それでも続けることで能力がつき、結果としてどこかで成功する。それならば、「楽しくて続けられることをやったほうが良い」と確信して、エンターテインメント事業を始めたのです。
なぜ地元福岡で設立されたのでしょうか?
以前、プロジェクトをやろうとしたときに、東京ではクリエイターが見つからないことがありました。それがたまたま福岡で見つかり、「福岡には、実はもっとクリエイターがいるのでは」と思ったのです。福岡はゲームやコンテンツ産業が盛んですが、当時はクリエイターのポテンシャルの割に大きな仕事が少ない状況でした。私は、皆に喜ばれるような大きなエンターテインメント事業をプロデュースしたかったので、クリエイターがいる福岡で仕事をすることで、福岡のコンテンツ産業の発展に貢できるのではないか、と感じたのです。
なるほど! そして先日、日本初のブロックチェーンゲームをリリースされましたね。
はい、「福岡から世界へ!」と言って苦節 5 年、ようやく福岡から、日本初のプロダクトとして「くりぷ豚」を出すことができました。でもこれはあくまでスタート地点。これから、このブロックチェーンゲームを普及させていきます。今までと違う点が大きく2つあります。1つ目は、今までゲームの中だけで使われていたゲーム内コインが仮想通貨になり、それを増やすことができること。2つ目は、ゲーム内のアイテムをゲーム外に持ち出せるということ。これからゲームで手に入れたり育てたりしたアイテムは、他のゲームでも使えるようになっていきます。エンターテインメントは、ユーザーの選択肢が多いほどユーザーの楽しみにつながります。例えば YouTubeは、いつでもどこでも見られるというテレビにはなかった新しい価値を生み出し、チャンネルの制約もなく、その内容も多様化しており、飽きさせることなく、ユーザーを楽しませていますよね。選択肢の多いコンテンツやメディアは、ユーザーに「新しい楽しさ」を提供できるのです。また、決して派手なことではないけれど、当たり前のことの積み重ねこそが高い品質に繋がっていくと思います。以前テレビで、大手食品会社の社長が、すべての新商品の試食をしているのを見て、それってすごく大事なことなのではないかと共感しました。私たち制作者もユーザーなので、遊んでみて本当に楽しいのかを確認しますし、ユーザーの声にも常に向き合い続けています。
ところで、今日の服装は印象的ですが、何かこだわりがあるのでしょうか?
最近、座禅断食に行ってきたのですが、これはその時に着ていた作務衣です。座禅断食中だけ習慣が改善されてもそれは一過性のもので、その後自分自身がどう変わっていくかが大事です。そこで、作務衣を着続けることで心構えも変わってくると感じました。これまで、「行動を変えると心が変わる」という経験をたくさんしてきたので、とりあえず行動を変えてみています。そうすると1日1回座禅しようとか、食事に気をつけようとか、考え方が変わってきます。制服を着ると身が引き締まるのと同じですよね。最初から好きとか嫌いとか決めつけすぎずに、まず試してみるのは大事。自分の心の持ち方次第で、見方、感じ方は変わる。素直に行動してみることで、心が変わり、自分が変わっていくきっかけになります。
自分の行動をしっかり見つめていらっしゃるのですね。
そうですね。自分は何が好きで何が嫌いか、何が強くて何が弱いかということについて、心に問いかけるようにしています。好きなこと・強いことにはフォーカスするし、嫌いなこと・弱いことは得意な人にお願いする。自分や仲間の特性を知って役割分担するようにしています。例えば、昔は社員と触れ合う温かい経営者の像を描いて努力していたのですが、自分は社員とマメにコミュニケーションをとって、社内を徘徊して「君頑張っているね、これからもよろしく!」とか言うのにはあまり向かないことに気付きました(笑)そういうのが強みだったらやったほうがいいけれど、それが自分の自然体でないのなら、無理してまでやる必要はありません。表現方法は他にもありま
す。経営というのは社長一人ではなく、社員全員でするものだから、スーパーマンを目指さなくてもいい。「自分らしく」が大事ですし、コミュニケーションは、社員全員、会社全体で成り立っていればいいのです。
最後に、これからグッドラックスリーがどのような存在になっていきたいかをお聞かせください。
多くの人を楽しませることができる価値あるエンターテインメントというのは、テクノロジーや習慣の変化によって時代ごとに変わっていきます。そこで今、ブロックチェーンという大きな変化を見つけて、会社全体をシフトさせています。そして、これからも「こんな面白さもあったんだ!」という驚き、喜びを提供していきます。今、弊社が作ったゴジラインタラクティブゲームというものをキャナルシティで提供しています。プロジェクションマッピングで迫ってくるゴジラに、200~300人の観客が一つのチームになって、スマホで凍結ミサイルを発射し戦います。300人が同時にゴジラを凍結させよう、なんて、新しいじゃないですか。日本人だけではなく、中国人、韓国人、アメリカ人、その場にいる全員が、その瞬間は仲間になります。ゴジラに負けてしまうと、サッカー日本代表が点を取られたときみたいに「あ~」って声が全体から漏れるのですが、これがまたいい。ビジョンで掲げている「世界中の人々の心を繋げて笑顔にする」
ものをつくっていきたいな、と思っています。
学生インタビュアーの感想
WANメンバー園田映美音さん(九州大学1年生)
私は今回初めてミライロ仕事図鑑の取材に参加しましたが、社長さんから直接お話を伺うという経験は私にとって大きな刺激となりました。
最も印象に残ったのは、井上社長の仕事に向き合う姿勢です。社長ご自身が社員とともに常に仕事を楽しみつつ、当たり前のことを積み重ねていくことで、より品質の高いコンテンツを実現することができるのだそうです。「当たり前のことを積み重ねていくこと」は、誰でもできそうでなかなか出来ないことです。しかし今回の取材を通して、井上社長は将来を見据えて事業戦略を立てたり、ご自身の長所・短所を見つめなおすなど、一つ一つの行動や物事の動向を客観的かつ確実にとらえていらっしゃると感じました。私自身これから様々なことに挑戦したいと考えていましたが、その前にまずは「当たり前のことを当たり前にできる」ことを第1の目標として、行動を起こしていきたいと思います。
(取材の様子①)
(取材の様子②)
井上社長、ありがとうございました!