「福岡商工会議所NEWS(福岡商工会議所会報誌)」のコンテンツ「ミライロしごと図鑑」では、
“次世代学生が成長企業を取材し、自分が将来活躍するフィールドを探しにいく”
をテーマに、「福岡」という枠組みに囚われず、面白い取り組みに挑戦する企業を紹介しています。
新年度を迎え、第2回目となる今回(会報誌5月号)は、 ナレッジネットワーク株式会社 櫻木諒太さん に、『10年後』をテーマにお話を伺いました。
NPO法人学生ネットワークWANは、この「ミライロしごと図鑑」の取材・記事執筆を担当しています。本メディアでは、会報誌にはおさまらなかった写真も掲載しました!
今月の取材先:ナレッジネットワーク株式会社とは?
「情報と知識を知恵に変え、創意工夫によって新しい価値を生み出す」をコンセプトとし、地域の魅力を最大限に引き出しための新規事業立ち上げ支援、クラウドを活用した地域間連携、次世代を担うリーダーの育成事業など幅広い分野で事業を展開している。
今回取材に協力していただいた方、ナレッジネットワーク株式会社 櫻木諒太さん
ー 現在の仕事内容とその魅力について教えてください
私の現在の仕事は、官と民、東京と地域、大企業を成長企業など異なるコミュニティをつなぎ、新しい企画を仕掛ける事業プロデュースです。 弊社で働いているからこそ感じる魅力は2つあります。まず、多種多様な人たちと出会えることです。地域の会社の経営者、ベンチャー・スタートアップ、女性起業家、大企業の新規事業担当者、公務員や学生の方などと仕事をする機会があり、いつも刺激をもらっています。二つ目は、前の会社で行っていた事業プロデュースを、市場を変えて民間ベースでチャレンジできるということです。公的機関は組織の性質上制約もありますが、彼らの取り組む事業を民間の視点をいれてプロデュースするところにビジネスチャンスがあると考えています。一見これは官でやるものでしょうと思われているところを、先端のテクノロジーを使って民間で挑戦するというのは十分チャンスもあるし、とても面白いと感じています。
ー櫻木さんはもともと公的機関で働いていたそうですが、なぜナレッジネットワーク株式会社に転職されたのですか?
転職をしたのは、きちんと自分で稼ぎ、自分で価値を提供する人材になりたいと思ったからです。公的機関だと自分でお金を生み出す経験ができません。それは公的機関の性質上仕方がないことでもあります。公的機関に勤めていて難しいと感じたのは、企業に対して平等に対応しなければならないということです。「この企業ともっと一緒に仕事がしたい」「このサービスを使えばより良くなるから紹介したい」などと思っていても難しいです。そのような中で、尊敬できる成長企業の方々と仕事をしていく中で、こういった企業に対してより踏み込んで価値を提供するためにはどうしたらいいのか、を考えるようになりました。そして、20代のうちにきちんと稼ぐ経験をしておかなければ、自分の市場価値が無くなると考え、転職を決めました。
ー 様々な事業を展開されていますが、複数のプロジェクトをどのようにこなしているのですか?
まず大切なのは、自分がどのプロジェクトをしているのかを可視化することです。ITのツールを使えば、他人に任せているタスクを可視化することもできるので、頭がパンパンになることはありません。複数のプロジェクトがあるとはいえ、それらが互いに関係していることは多いです。さらに、過去のプロジェクトでの経験を生かして働くことで効率化を図っています。
また、朝は考えることに、お昼からは人と会うことに、というように時間の使い方を工夫しています。時間帯によって、その時間帯に合った頭の使い方をしたほうがいいと考えているからです。
ー櫻木さんは、福岡をベースとしつつもリモート勤務で、チャットやWEB会議を駆使して仕事をされていますが、そのような「新しい働き方」を先駆けて実践していることに対して、どのような思いがありますか?
「ナレッジネットワーク」を創っていくためには、いつでもどこでも誰とでも働けることが必要なので、リモートワークなどができていたほうがいいですよね。また、弊社自身お客様に対してクラウド活用など伝える立場でもあるので、率先して新しいことに取り組み、自らがロールモデルになる必要があります。
私はリモートワークを新しいとは思っていません。なぜなら、お金や時間のない学生時代、複数拠点の学生とスカイプでつないで会議をしたり、オンライン掲示板等を活用していたからです。リモートワークで使えるツールの質は昔に比べるとたくさん出てきていますが、ツール自体は元々あったものなのです。
ー 学生時代、様々なことに挑戦されていたそうですが、どのような学生でしたか?
私はもともと、活動的な学生だったわけではありません。国際交流のサークルに所属していましたが、国際交流に特に強い興味があったわけではありませんでした。とはいえ、サークルに参加してからは、いかに自分が楽しめる場所にしていくかを追求していました。そうしていると、次第に周りの人たちから企画に誘われるようになり、最終的には自ら楽しんで企画するようになりました。
ー学生のころから、組織を引っ張っていたのですね。チームをまとめる上で大切なことは何ですか?
みんなで同じ絵をみることです。ベンチャー風の言葉で言うと「ビジョンを共有する」ことが一番大事だと思っています。弊社のインターン生と関わるに当たって、ビジョンの共有ということは常に意識しています。そこで感じるのは、会社のビジョンをイメージできていない人に対してはまず、その人の言葉でビジョンを見せることが、チームをまとめる上で大切だということです。というのも、最近、働くことに対する目的が変わってきていると思うからです。食べていくために働くのは当然ですが、特に私より下の世代では、働くことに対して、「ビジョンに共感できるのか、自分は役に立てるのか」ということを求めているような気がします。 チームで働くことに疑問を持った時に、「今の自分の仕事は誰かの役に立っている」と納得できているかが非常に大切ですね。一人一人が大きなビジョンを持つ必要はないですが、共通のビジョンを持っているかという点は、チームをまとめていく上で非常に重要なことです
ー最後に、櫻木さんの「10年後のビジョン」を教えてください!
世界を変えたいといった、壮大なビジョンではないですが、人と組織の幸せな関係づくりに携わりたいと考えています。働くことに対してネガティブなイメージを持つ人が多いですが、それは働き方との出会い方がよくないからだと思います。だから自分がロールモデルとなり、私よりも下の世代がポジティブに働き、もっと色々なことを仕掛けていいと思うことができるようになれば、と思います。
また今までは知識を繋げれば価値を生み出せましたが、これからは共通するビジョンを持つ者が繋がることで仕事が進む時代だと思います。一つ視座をあげ、しっかりとしたビジョンを持って事業に取り組むことが大切だと思います。
ビジョンを明確に持ち、周りと共有することが、10年後、個人にとっても企業にとっても、非常に大切になりそうですね。また、数十年後の「働く」ことを考えるにあたって、「その時代に働く人」に目を向けると、さらに色々なことが見えて来そうだと感じました。
櫻木さん、貴重なお話をありがとうございました!