「今与えられている役割をチャンスと捉え、 10年後には“任される”人材になる。」株式会社トゥトゥモロウ 森 拓人さん
「福岡商工会議所NEWS(福岡商工会議所会報誌)」の内の企画「ミライロしごと図鑑」では、
“次世代学生が成長企業を取材し、自分が将来活躍するフィールドを探しにいく”
をテーマに、「福岡」という枠組みに囚われず、面白い取り組みに挑戦する企業を紹介しています。
第6回目となる今回(会報誌9月号)は、株式会社トゥトゥモロウ 森拓人さんに、『10年後』をテーマにお話を伺いました。
NPO法人学生ネットワークWANは、この「ミライロしごと図鑑」の取材・記事執筆を担当しています。
PDF版はこちらからご覧いただけます。
今月の取材先:株式会社トゥトゥモロウとは?
「“こだわり”や“愛着”のある洋服や靴などのファッションアイテムを、卓越したメンテナンスサービスで、長く大切にするお手伝いをする。」を理念に掲げ、宅配クリーニング『ラクーンデリバリーサービス』など、様々な事業を展開している。
株式会社トゥトゥモロウは、現代表の坂田 知裕氏が、 1993 年に宅配クリーニング「ラクーンデリバリー」で創業。 その後、クリーニング事業からファッションメンテナンス事業へと領域を拡大し、特殊しみ抜き「感動しみ抜き匠抜き」、靴のメンテナンスサービス「靴磨き隊」、クリーニングの通販「美服パック」、高級洗剤ブランドと協業した「ランドレス・クリーニングラボ」などを次々と展開。最近では、スマホから注文、希望のロッカーで洋服をやりとりする新サービス「ランドリーパック」を開始した。2009 年には、経済産業省主催の中小企業 IT経営力大賞を受賞している。
そんなトゥトゥモロウでデリバリー部門のリーダーを務める、 森 拓人氏に、10 年後をテーマにお話を伺った。
ー森さんが自社を知ったきっかけや、選んだ決め手を教えてください。
当時、個人宅にお伺いする宅配クリーニングサービスといったものを聞いたことがありませんでした。宅配と聞くと、 ピザや飲食店のデリバリーを思い浮かべていたので、その点が面白いと思いました。最近はネットの普及によりオンライン上でなんでもやり取りができてしまうので、こういったサービスをしている会社は他になかなかありません。
ー現在のお仕事と、仕事の中で心がけていることを教えてください。
私はデリバリー部門の一社員として、お客様のお宅に伺う 現場の仕事をしつつ、リーダーとしてチームをまとめ、他の従 業員のシフトの作成も行っています。マネジメントに関しては、 指示を出したら、その作業が一通り終わったかどうかの確認を行うようにしています。以前、「やっておいて」と指示を出しっぱなしにしてしまい、後から社長に「終わったの?」と聞かれ、慌てて対応をしてしまったことがあったからです。あとは、 仕事が雑になっていないか、簡単な仕事でもちゃんと丁寧にやっているか、ということを意識するようにしています。
ーお客様とのやりとりの中で心がけていることはありますか?
現場では、「お客様の変化に気づく」ということを意識してい ます。個人宅にお伺いするので、玄関の雰囲気などから話すきっかけを見つけ、お客様と少しでも距離を縮めていくことがで きるようにしています。お客様の7~8 割が以前から弊社のサービスを利用されている方なので、スタッフが変わった時も、お客様の方から声をかけていただけ、親しくなれる最初の一歩になります。親しくなれば仕事もやりやすいですし、何度も顔を合わせるのでプライベートのお話も自然とお客様の方から振ってくださるようになります。
ーそんなクリーニング業界の10 年後をどうお考えですか?
現在は、過去と比べて、服のカジュアル化など、自宅で洗濯できる衣類が増加しています。さらに共働き・シングルマザーも増加傾向にあり、1 世帯の所得が低く、節約志向になっていくと思います。ですので、クリーニングの店舗自体は減少の方向に傾いていくと思います。しかし、世の中に洋服が存在する限り、クリーニング業界自体がなくなることはありませんので、いかに値ごろ感のあるサービス・高クオリティ・高付加価値でお客様を満足させていけるかが、業界としても大事になってくるのではないかと思います。
ー 業界の潮流を踏まえ、御社としては10 年後の戦略をどうお考えでしょうか。
マーケットがシュリンクしていき、ニーズが多様化する状況の中で、それぞれのニーズにフォーカスしたサービス開発が必要だと考えております。弊社では最近、ランドリーパックというロッカーを利用した新サービスを始めました。お客様は、スマホで注文していただき、ご希望のロッカーに洋服を入れていただくだけのサービスです。
共働き・シングルマザーの増加、働き方改革の推進などの、 環境が変化する中で、さらにプライベートの時間が貴重になっ ていきつつあります。そんな中、手軽にクリーニングできるサー ビスは今後重要になってくると感じております。テスト段階で東京・埼玉にも展開しており、全国展開はもとより海外へも広 がっていけるよう、チャレンジしていきます。
ー個人としての10 年後の目標はありますか?
個人としては、人を動かすことができ、そして任される人になっていたいと思っています。現在、デリバリー部門 5~7 名のパート・アルバイトを統括するリーダーを任されています。自分 の年齢(25 歳)で現場をまわすという経験は、他の会社ではなかなかできない珍しいことだと思っています。
ビジネスにおいても“珍しい”はチャンスに繋がりますので、自社の宅配クリーニングという業態は、世間的にも少数派で今後の可能性を大きく感じています。その中で今与えられている役割をチャンスと捉え、周りを動かし任される社会人になっていければと思っています。
ー10 年後の目標に向かって心がけていることはありますか?
目の前の仕事に丁寧に打ち込むことを心がけています。当たり前のようですが、仕事に慣れていくとおろそかになりがちな部分です。ただ仕事に打ち込むのではなく「丁寧」に打ち込むことが大事だと思っています。毎日「丁寧」を積み重ねていければ、それを見て周りがついてくるようになり、信頼に繋がります。それが習慣化できて初めて、10 年後の自分の理想に進んでいけると思っています。
ー最後に、働くことに対するモチベーションを教えてください。
好奇心です。興味を持つことは仕事をする中でとても大事だと思います。この業界はこの先どうなるのか分からない分、良い方に向かっていく可能性もありますが、逆の可能性もあります。つまり自分たちの動き方次第で決まるということです。このことがモチベーションの維持に繋がっていると思います。
10 年後の自分を想像しながら、目の前の仕事に丁寧に取り組み、また自分の好奇心に従って仕事をきっちりこなす姿勢がとてもかっこいいと感じました。森さん、貴重なお話をあり がとうございました。