「一期一会」を大切に、全力で仕事に打ち込む
トップにいる人間は、何か突き抜けた瞬間を経験しているものだ。
トップがなぜこの職を選び、どうやって今にたどりついたのか。
その仕事観 と大切にしている価値観をインタビュー。
株式会社ディーブレイン・九州
代表取締役 前田 隆 様
1997年に誕生した株式公開制度「グリーンシート」。
ある一定の基準を満たせば、中小企業やベンチャー企業でも
株式を公開することができる制度で、
多くの企業の資金調達や社会評価の向上に貢献している。
株式公開の支援という”会社を育てる”仕事になぜ前田社長は魅了されたのか?
ベンチャー企業など株式公開をめざしている企業への
コンサルティングを行っている前田社長が、
もっとも大切にしているコトバについて、映像で語っていただきました。
Q.中小企業のインフラ「グリーンシート」という制度とはどういうものですか?
グリーンシートは1997年に日本証券業協会が創設した株式公開制度です。
従来の証券取引所と同様に「株を売買する場」ではありますが、最大の特徴は、
会社を応援する株主を募集する場として中小企業に利用されていることです。
制度開設以来、グリーンシートは中小企業の株式発行による資金調達や
社会的評価の 向上に貢献しています。これまで、中小企業の資金調達の手段としては、
銀行からの借入が中心でした。しかし、リスクの高い新規事業の立ち上げや、
回収期間の長い設備投資を行う場合は、新株発行による安定資金の調達が適しています。
本来、株式会社であれば、規模の大小を問わず、株式を発行して資金を
調達できる機能を有しているのです。 銀行の融資姿勢が厳格化する中で、
中小企業もグリーンシートを活用し、株式発行により自己資本を充実させる必要があります。
Q.上場する企業を見る目について
どの企業が成長するのか、いわゆる「目利き」については、正直に申しますと
まだまだ自信がありません。ただし、株式上場となると、やはり経営者の経営理念や
事業に対する想いなどが何よりも重要だと思います。やはり、個人は、
同族の利益よりも会社の成長を優先できる経営者でなければ株式上場は難しいと思います。
大相撲の横綱と一緒で、強いだけでは上場できないのです。
ライブドア事件など上場企業の不祥事が相次いだことは非常に残念ですが、
本気で上場を目指さ れる経営者の大半は素晴らしい人格者だと思います。
ある経営者とは、会社を設立する前から株式上場計画を一緒に作成しました。
会社を設立する前ですので、当然ながら実績は全くありませんし、
ビジネスモデル自体も固まっていない状態です。おそらく周囲の人から見れば、
この段階で株式上場を計画することは冗談だと思うかもしれませんが、
私はいたって真面目に取り組みました。それほどこの経営者の事業に対する想いには
魅かれるものがあったのです。実際に会社を設立し、わずか4ヶ月後に、私募債で1億円調達し、
設立から1年5ヶ月後には日本証券業協会のグリーンシートに株式公開し、
累計で2億円近い資金を、銀行を頼ることなく調達したのです。
この資金を使って、設立後3期目には売上高10億円、経常利益30百万円という業績を残しました。
Q.パブリックだからこそ、集まってきたのか?事業そのものがすばらしかったのか?
ここ20年あまり、世界の証券市場は、どちらかというと短期的な利益を目的とする
投機的な考え方が支配してきました。しかし、この金融危機によって、社会は、
私たちの生活を支える多くの産業に資金を供給することが金融の真の役割であるといった
本来の価値観を取り戻しつつあると思います。そもそも株式会社であれば、
どんな会社でも株式を発行し、事業に必要な資金を調達できる機能を持っているのです。
この機能をうまく使うためには、調達したお金を不正に利用しない仕組みや、
会社の状況を適時適切にディスクローズする体制などが必要になります。
事業そのものの評価ももちろん大事ですが、直接金融を活用するには、
その事業を運営する体制そのものが重要になってきます。
Q.苦労した点は?
ちょうど今年で10年目ですが、10年前は東証マザーズやナスダックジャパンなどの
新興市場が誕生した時期です。立派になった大企業だけでなく、当時
ベンチャー企業と呼ばれた中小企業にとっても株式上場が身近になった時代でした。
しかし、企業には外部株主が増えることへの抵抗感があったり、小さな企業が上場を
目指すことに理解が得られなかったりで、最初は苦労しました。もちろん、
今でも苦労やストレスはありますが、これらは私自信が成長する上で
無くてはならないものだと思います。厳しいい環境に立たされた時こそ、
成長するチャンスといった前向きな気持ちを心掛けています。
Q.そのように考えるきっかけとは?
もともと前向きというか楽観的な性格だったこともあるのでしょうが、やはり、
仕事を通じて知り合った経営者から自然と教わった部分もあったと思います。
私の知っている経営者に比べれば私の苦労なんてまだまだです。
どんな苦境に立たされても、結局は自分が出来ることを行動に移すしかありません。
それを実践するにはもっと胆力をつけなければと思っています。
Q.どんな大学時代を過ごしましたか?
大学3年生の時に、「儲かるんじゃないか」という安易な発想で仲間と会社をつくりました。
その会社は4年後に倒産したのですが、その時に経営についてもっと勉強して、
再度会社をつくりたいと考えていました。地元の大分に戻り、先ずは
経理の知識を身につけるべく税理士事務所に面接に行きましたが、
簿記の資格がないので不採用だったんです。それでバイトしながら簿記2級をとって、
もう一回その事務所を訪ね、採用してもらいました。その後、税理士の資格ではなく、
中小企業診断士の資格をとろうと勉強をしながら、毎日、新聞を読んでいた時に、
たまたま、ディー・ブレイン九州設立の記事を見つけました。
実は、親会社であるディー・ブレイン証券は戦後30年ぶりに設立された証券会社として
話題になったこともあり、税理士事務所に入った後も気になっていた会社でした。
税理士事務所の先輩にも相談した上で、転職を決意し、採用試験に挑みました。
書類選考になんとか合格し、次の面接試験では、私以外にも10数名来ていたようです。
ですから、採用通知を受けたときは本当に嬉しかったです。
それでも当初は3年後を目途に独立しようと思っていたんです。
でも何をするかは漠然としていて「なんで自分は独立したいんだろう」と考えた時に、
「単にお金儲けをしたいから?」、「自由な時間に出社して、好きなように働きたいからか?」など
自問自答したところ、やっぱりそうじゃない。仕事に対する価値観も大学時代からは大きく変わっていて、
給料 や勤務時間などの待遇面より、自分の仕事がどれだけ社会に役立っているかを
重視するようになっていました。そんなこともあって、創業社長の出縄さんが掲げた
「中小企業に直接金融のインフラを構築」といった理念に共感しているのであれば、
自分がトップである必要はないんじゃないかって思い当たったんです。
それから10年が経過し、当社を取り巻く経営環境も大きく変化しました。
特に、昨年の米国金融危機に端を発した株式相場の低迷は、株式上場を目指す企業にとっても
大変な逆風となり、九州では大手ベンチャーキャピタルの相次ぐ撤退など、
直接金融に係る関係者の中では強い閉塞感が漂っています。
そんな中で、ディー・ブレイングループも九州から撤退という案もありました。
しかし、この環境下だからこそ、当社が果たさなければならない役割があると思い、
ディー・ブレイン九州のメンバーで親会社から株を買い取り、私が代表になりました。
これから間違いなく到来する地方分権の時代にあって、東京本社の地域子会社ではなく、
独立した経営主体として、東京主導ではなく、地域主導により、
地域のニーズをより迅速に経営に活かすための独立でもあります。
厳しい環境下ですが、出会いを大切に、前向きにチャレンジしていきたいと思います。
最後に、前田社長から学生に対して一言メッセージをいただきました!
会社名:株式会社ディー・ブレイン九州 / 業種:株式公開支援
所在地:〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神2丁目14番2号 証券ビル8階
TEL:092-781-8817 / FAX:092-781-8832
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